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逆さクラゲ

長い文章

脚気とカリフラワー

 一人暮らしはじめてからカリフラワーを一度も口にしていない気がする。

 今日はタコをすごく久しぶりに食べたんだけど、ラム肉とか、ふきとか、舌びらめとか、じゅんさいとか、めかぶとか、こうなんかパッとしない、あってもなくても変わらないような、そういえばそんな名前の奴いたな、いつも窓際の後ろから2番めの席で、机ずっと彫ってて、学年変わる時にバレてめっちゃ怒られて、茶色のマッキー塗ったってごまかせるわけないだろ、その瞬間だけ存在が意識されるような食材が結構ある。
 一人暮らしというのは自分の食事のほとんどに関して自分で責任をとらなくてはならないので、出さればなにも考えずに食べてたようなものとかに関しても、細かい好みというか、積極的に食べるかなこれ、というような感じの傾向が浮き彫りになる。パクチーはたぶん牛肉より食べてる。
 脚気という病気を知っていると思う。膝たたくと足がビョンってなる検査の、自分は世代じゃないから受けたことない、脱脂粉乳とかDDTとかそういうもんかなと思ってる。明治時代の帝国軍が白米6合とか食べさせるから兵士バタバタ死んで、海軍は米食が原因じゃないかってずっと言ってたんだけど、ドイツかぶれの陸軍医、森鴎外とかが細菌原因説を採用して猛反発、兵士もっとバタバタ死んで、外地なんかでは戦死者より脚気で死んだ人の方が多かった、結局玄米が採用されたのが大正入ってから、こういうところがあるから高校のときやった舞姫とかもあんま好きになれなかった、「ニル、アドミラリイ」の気象ってなんなんだ、腹立つな、原因がわかって昭和に入ってからもしばらく脚気で民衆バタバタ死んでたらしく、全員気が狂っている。
 そういうことを考えていると、カリフラワーとめかぶにしか含まれてない希少なミネラルとかぽっかりと抜け落ちているなにかの栄養素があり、そのうち妙な病気にかかって医者にも原因がわからぬまま窓の外のポプラの残りの葉の数をかぞえたりしながらなすすべなく死んでいくのではないか、というか玄米とかも食べないからその脚気にかかりそうな感じさえする、気が気でない。はやく実家に帰りたい。